〜代々木上原〜〜代々木上原〜
Ritzテナントのイタリアンレストランへの改善提案を目的に、イタリアンの調査を行った。今回のターゲットはBVLGARI Hotel TokyoのIL Ristorante Niko Romito。
今宵は週末、人と喧騒でごった返す東京ミッドタウンを抜けると、ブラックとゴールドのBVLGARIカラーのランウェイに導かれ、40階へと誘われる。壁面にBVLGARIの歴史が写真で綴られた漆黒の廊下、その先には天然木の温もりと間接照明の温かさ、オークブラウンとシャンパンゴールドのフロアが広がった。気品と歴史を感じる空間にイタリアの至宝を感じ得た。
アミューズは黄金色に透き通るスープ。にんじん、玉葱、セロリそれぞれの香りと個性が溶け込んだエキスが優しく胃を包み込むように染み渡る。今宵のワインのリミッターを取り払う、そんな一品であった。
お墨付きを得てワインリストに眼を通すとイタリアワインのセレクションに圧倒された。ただボルドーワインは肩身が狭い。地域も種類も控えめだ。そんな中、眼を疑ったのが、ロック・ド・カンブ。コート・ド・ブールで異才を放つフランソワ・ミジャビル氏が手がける希少ワイン、サンテミリオンの格付けシャトーも凌駕する逸品だ。迷わずこれをオーダーすると、ソムリエが茶目っ気たっぷりウインクした。
前菜の1品目はアンティーブのサラダ、ケーキ仕立てにデコレーションされ、松の実のクリームがほろ苦さを包み込む。本日2品目にして計算高さを察知した。
前菜2品目は黒富士農場のポーチドエッグをカリフラワーの濃厚クリームが包み込み、クリスタルキャビアのアクセント。動物性と植物性、相反する素材の特徴は、リッチかつスムースでどちらも同じベクトルだ。自ずと相性は保証される。
パスタの1品目はフンギのラビオリだ。個性強めの3種類のキノコ、特にポルチーニと椎茸が譲らない、正に日伊対決に主張が暴れると思いきや、パセリのオイルソースが前へ倣えとオーガナイズする。ここでもまた計算を垣間見た。
パスタ2品目はボタンエビとアンチョビバターのスパゲットー二。優雅さを醸し出すボタンエビにアンチョビのクセと塩味が茶々を入れる。されど動じずに私が主役とばかり主張するボタンエビに、太めのパスタが絶妙にアシストだ。女王蜂と働きバチ、これぞハニカム構造の強靭さの所以だろう。
メインの1品目、魚料理がサーブされた。本日はギュッと身の引きしまった真鯛のスチームにごろごろクラム出汁ソース、マリーンなテイストに包み込まれると思いきや、レモングラスが心地よい余韻を刺激する。いい意味の想定外で気にかかる。やはり計算高さに流れ着く。
いよいよ真打、メインを締めるのは宮崎牛フィレ肉だ。絶妙な火入れにモリーユ茸のジュレ、王様のご就寝には極上寝具が必需品。心地いい床でゆっくりと熟成された宮崎牛は極上だ。盛り付けも潔い。どうだとばかりの一品だ。
そして今宵のショーもフィナーレへ。デセールがサーブされる。チョコレートで作るケーキとはいえチョコレートケーキとは一線を画す、チョコレートをジュエリーにする、正にBVLGARIワールドの真骨頂、プレリュードからエピローグへ。そろそろロックドカンブもボトムズアップ。ジュエリーナイトディナーの幕引きだ。
どうだろう。リッツも顧客も共有する。特に計算高さは響くだろう。ただホノルルで、ワイキキで、果たしてBVLGARIジュエルイタリアンが輝くだろうか、、、 輝けばいいな、そんな思いでブラック＆ゴールドを後にした。
